StateRAMPとは
StateRAMP: クラウドセキュリティ認証の新たな標準
近年、クラウドサービスの普及とともに、政府機関が利用するクラウドソリューションのセキュリティ確保が重要な課題となっています。米国では連邦政府向けのクラウドセキュリティ基準としてFedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)が広く知られていますが、州政府や地方自治体にも適用可能なセキュリティフレームワークとして「StateRAMP」が登場しました。本コラムでは、StateRAMPの概要や目的、メリット、適用プロセスについて詳しく解説します。
StateRAMPとは?
StateRAMP(State Risk and Authorization Management Program)は、州政府および地方自治体が利用するクラウドサービスのセキュリティ基準を統一し、リスク管理を強化するためのフレームワークです。2020年に設立されたStateRAMPは、FedRAMPをモデルにしつつ、州および地方政府のニーズに対応できるように調整されています。クラウドプロバイダーはStateRAMPの認証を取得することで、複数の州政府や自治体に対してセキュアなサービス提供が可能になります。
StateRAMPの目的
StateRAMPの主な目的は、州政府および地方自治体におけるクラウドセキュリティの標準化と効率的なリスク管理です。具体的には、以下のような目的を掲げています。
- クラウドセキュリティの向上: 統一されたセキュリティ基準を適用することで、州政府が利用するクラウドソリューションの安全性を高める。
- リスク管理の一元化: 既存のセキュリティ評価を活用し、州政府間で情報を共有することで、セキュリティ評価の重複を避ける。
- ベンダーの負担軽減: FedRAMPと共通の要件を持つことで、クラウドサービスプロバイダーが複数の政府機関向けに同一の基準を満たすことを容易にする。
- 調達プロセスの効率化: 認証済みのクラウドサービスを利用することで、政府機関の調達プロセスを迅速化する。
StateRAMPのメリット
StateRAMPに準拠することで、政府機関とクラウドサービスプロバイダーの双方に多くのメリットが生まれます。
政府機関のメリット
- セキュリティの確保: 高水準のセキュリティ基準に基づいたクラウドサービスの導入が可能。
- コスト削減: 事前認証されたサービスを利用することで、個別のセキュリティ評価にかかるコストを削減。
- 迅速な導入: 既に認証を受けたサービスを活用することで、クラウドソリューションの導入スピードが向上。
クラウドサービスプロバイダーのメリット
- 市場アクセスの拡大: StateRAMP認証を取得することで、複数の州政府および自治体向けにサービス提供が可能。
- 認証の一元化: FedRAMPと類似の要件を持つため、連邦および州政府の両方に対応可能。
- 競争力の向上: セキュリティ基準を満たしていることを証明することで、競合他社との差別化が可能。
StateRAMPの認証プロセス
StateRAMPの認証プロセスは、FedRAMPと同様に、クラウドサービスプロバイダーがセキュリティ要件を満たしていることを証明するための手順を踏みます。
- 登録(Registration): クラウドサービスプロバイダーはStateRAMPに登録し、申請プロセスを開始。
- 評価(Assessment): 第三者評価機関(3PAO)が、サービスのセキュリティ対策を評価。
- 承認(Authorization): 評価結果をもとに、StateRAMPの運営組織または州政府が承認を行う。
- 継続的なモニタリング(Continuous Monitoring): 承認後も定期的な監査やセキュリティ評価を実施し、基準を維持。
StateRAMPとFedRAMPの違い
StateRAMPはFedRAMPと多くの共通点を持ちながらも、州政府および地方自治体向けに最適化されています。主な違いは以下の通りです。
まとめ
FedRAMPとStateRAMPは、どちらも政府機関向けのクラウドセキュリティ認証プログラムですが、対象機関が異なります。基本的なセキュリティ基準は共通していますが、州政府や地方自治体向けのStateRAMPは、より柔軟な認証体系を採用しています。
次回はFedRAMPにスポットを当てたコラムを予定しております。